「もう、おたふくさん、作ったはりますか?」
「はい、ありまっせ。どうぞ、お越しやしとくれやす。おまちしてまっさかいに。」
豆さんの香りいっぱいのおたふくさんのそばに、有平糖(ありへいとう)で出来たねじり棒を添えたら、はい、これは鬼さんの金棒や。
これが、そのまま、鬼の顔をしてないとこが、作り手の腕のみせどころ。『見立て』の妙が潜んでる。
このねじり棒、ようよう見るとねじれ方が不揃いなとこもええなと思う。熱い飴を細う伸ばして、キリキリとねじって作らはったのやろうな、想像するだけで温かい気持ちになってくる。